サタヒカ

贖罪

そういえば、あのお方がいなくなってもうすぐ一年になる。もうそんなに経つのか、と思ったが、この一年間を一つ一つ順を追って思い返せば確かに時間が過ぎたことが実感できた。「ねえ、やりのはしらに行こう」と言われたのはそんな時だった。この小娘はいつも…

夜のとばり

 雪がちらつく初冬の日、一人の少女が長い階段を上っていた。冷たい風につやのある黒髪がなびいている。上った先にあるのは町一番の高台にあるビルだった。その両側には大きなパラボラアンテナ。ビルの側面にはトゲのような装飾がいくつもついている。屋上に…