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妥協

・サタマズがルームシェアする話となっていますが、全てがふわっとしたご都合世界線だとお考えください。・ケーキを食べる、という行為を軸に話が進みますが、食の描写にあまり重きを置いていません。・時代考証がめちゃくちゃです(例:動画共有サイトが発売…

図書館

「この量の本から資料を探せって言うの……」早くも愚痴を吐くマーズを「無理なら降りたら良い」と牽制すると、無理だとは言っていない、だのと噛み付いてきた。彼女をいなしながらミオの図書館を一周し、簡単な館内図を頭の中に入れた。アカギ様の指令通り、…

演説前

リッシ湖の作戦では随分と高揚してしまった。冷蔵庫からよく冷えたエナジードリンクを取り出した。まだ作戦は続くのだと気を静めたが、腹の底では未だ火種が燻っている。「少しは落ち着いたかしら?」「……何のことだ」いつの間にか入ってきていたマーズがこ…

マーズが死体を埋める話

真夜中、トバリシティの明かりも届かないような深い雑木林で、二つの人影が蠢いていた。二人がかりで重たそうな麻袋を引き摺りながら、更に奥へ奥へと進んでいる。「もう! なんであたしがあなたの尻拭いをしなきゃいけないのよ」特徴的な髪形をした赤髪の女…

贖罪

そういえば、あのお方がいなくなってもうすぐ一年になる。もうそんなに経つのか、と思ったが、この一年間を一つ一つ順を追って思い返せば確かに時間が過ぎたことが実感できた。「ねえ、やりのはしらに行こう」と言われたのはそんな時だった。この小娘はいつも…

夜のとばり

 雪がちらつく初冬の日、一人の少女が長い階段を上っていた。冷たい風につやのある黒髪がなびいている。上った先にあるのは町一番の高台にあるビルだった。その両側には大きなパラボラアンテナ。ビルの側面にはトゲのような装飾がいくつもついている。屋上に…